「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」を大阪上本町の新歌舞伎座にて観劇してきました。

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この作品は1988年に音楽座により世に出たもの。
私はテレビ放送されているのを偶然目にしたのですが、それがちょうどクライマックスのシーンでした。
音楽座のこともよく知らない時でしたが、土居裕子さんの「ただならぬ」雰囲気の演技に釘付けになったのを覚えています。

♪虹色のシャボン玉~宇宙(ソラ)まで飛ばそう~♪というメロディーがインプットされました。名曲ですよね。
そして30年経って、やっとこの作品を通して見ることができました。

舞台セットはシンプル。衣装もバブル期の学生演劇を思わせるような、昔懐かしい雰囲気。
三浦悠介(ゆうあんちゃん)役は井上芳雄さん。
王子様オーラを消し、猫背でイケてない、ちょっと残念な、でも心優しい青年を自然に演じておられました。
コメディ要素も強い作品ですが、井上クンはコメディの間の取り方などホントにお上手。

駅の降り口に捨てられていた折口佳代役は、咲妃みゆさん。
私は初見でしたが、これまた素晴らしい佳代でした。大阪弁もバッチリ!(笑)
宝塚ご出身と聞くと、どうしても夢のようなお姫様を思い描いてしまうのですが、辛酸をなめ、涙にまみれながら立ち上がり、それをコメディにしてしまうようなパワーを感じました。

そしてこの作品には土居裕子さんや、畠中洋さんら、音楽座のメンバーが30年の時を経て、参加してくれているのも嬉しいと思いました。
土居さんは、この作品元祖の「お佳代」。
今回は、佳代を見守る宇宙人役。
宇宙人役は初めてだそうですが(笑)、いやいやどうして、ものすごく嵌っていました。
土居さんは音楽座の元祖女神、魂のような存在なので、宇宙から佳代を見守る役は、本当にぴったり。
ちょっと不思議な雰囲気も合っていました。地球に馴染めずオトボケな宇宙人3人組は、人が良くてズレていて、心優しくて・・・たくさん笑わせていただきました。
「ワタシタチハ、佳代のブレンドです」と、3人並んでポーズ。←フレンド(友)の間違い(笑)

豪華なセット、豪華な衣装、豪華な出演者・・・でも伝わるものがない・・・という作品も多い中、
シンプルなセット&衣装で、力のある出演者の皆さんが、本気で勝負を挑んだ!という感じがとても良かったです。
それはやはり「脚本」がいいからですね。
宇宙人は出てくるし、飛行機は墜落するし、ちょっと強引な展開もありますが・・・それを超えるメッセージがしっかりあります。

混沌として不安なご時世ですが、どんなにどん底からでも希望を持つことはできる。
それはシャボン玉のように僅かで儚いものかもしれませんが、だからこそ綺麗でいとおしい。

最近、個人的に辛いことが多くて、なかなかブログも書くことができていないのですが・・・
そんな状態でこの作品を見たので、余計に心に響き、マスクが涙で濡れるという体験をしました。

久しぶりに、心から良かったと思える作品に出逢えて大変嬉しかったです。元気をもらいました。




 


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