京都で上演されているノートルダムの鐘に、川口竜也さんがまたフロローとして出演されます。
私は野中さん、芝さん、川口さん、村さんのフロローを観たことがあるのですが、中でも川口さんのフロローの存在感に「ビックリ仰天」いたしました!
以下、去年のクリスマスイブに観劇したときの過去記事です。


クリスマスイブをノートルダム大聖堂(名古屋四季劇場)で過ごしてきました。

この日の目当ては、初めて名古屋に降臨された川口フロローを拝むこと。川口さんと言えば、レ・ミゼラブルで宿敵ジャンバルジャンと対決し、法を信じ、最後は自殺を図るジャベール役をされる方。シャープで抜群の歌唱力と、大きな目でギロリと睨む存在感、威圧感が素晴らしく、フロロー役を絶対に観たいと願っていました。

川口さんをご存じない方のために、ジャベール役の「STARS」です↓

レ・ミゼラブルもノートルダムの鐘も、共にヴィクトル・ユーゴーの作品。ミュージカル作品は数あれど、私がダントツで好きなのはこの2つかもしれません。
この2作品をハシゴすることをヴィクトル融合と言うとか。(うまいっ(笑))
そしてこの2作品に出ておられる唯一の方が川口竜也さんではないでしょうか。大好きな2作品を繋いでくださるとは、なんと素晴らしいことでしょう。。。。

そして開演。川口フロローにビックリ、あんぐり、ドキドキ続きのノートルダムでありました。(もう本当に心臓に悪い。血圧上がりそう?)
これまで観たフロローは芝さんと野中さん。
このお二人でも「こんなに違っていていいの?」と感じましたが、川口フロローは、次元が違いすぎました。これはもはや犯罪の領域か。(笑)
四季の舞台にご出演というか、乱入??

とにかく目立つこと、目立つこと。セリフを言っても低音が響くいいお声。歌えば鼓膜がビンビンするほど鳴り響き、これは「フロロー物語」ではないかとさえ思えました。

野中フロローは劇に溶け込むタイプ。白髪交じりの初老で、時に物悲しく、神に祈り仕えようとする姿は格好いいとさえ思いました。エスメラルダに出会ってから湧いてくる欲を振り払おうと必死になる姿が哀れで、肩を抱いてあげたくなったほどです。

芝フロローは素晴らしい歌唱力で、欲をむき出しにするタイプ。カジモドに対しては兄貴のような愛情も感じられました。

川口フロローの役作りは、恐ろしく嫌な男。
人を威圧し、見下すような態度。川口さんは目が大きく、ギョロリと睨まれると、カジモドでなくても震え上がるほど怖いです。

第一声から、民衆への冷酷さを感じました。恐怖政治?そしてこの方、すぐ切れて声を荒げるのです。感情の振り切れ方がハンパない。
さすが、ジャン・バルジャンと対決していただけはある!ジャベールは法を信じていましたが、フロローは神というより「自分」だけを信じているように見えました。

最後に「お前に愛が分かるのか?」とカジモドに問い詰められて、「弟を愛していた」というセリフがありますが、川口フロローはこのセリフを嗚咽まじりで絶叫していたのです。
「弟を愛していた~!!!」

そしてここから、途端に川口フロローが哀れに思えてきたのです。
冒頭で幼い弟ジェアンを見つめるときは、はっとするほど笑顔だったのを思い出し、劇が繋がり始めました。弟という唯一の存在を失ってから、少しずつ壊れていき、モンスター化してしまったのかと感じられました。親に捨てられて、誰からも本当に愛されることなく、学問として聖書を学んでくるしかなかったのでしょう。

自分がジプシー女を愛するという信じがたい行為に戸惑い、
「わかってる?私を見るその目つき」とエスメラルダに指摘されたとき、
よ~く~も~そんなことを~!!!」と切れ、
「私のものにならないならば、火あぶりにして殺せえええ~~」
という短絡的な思考回路になってしまうことが腑に落ちたのでした。

川口さんならではのフロローの筋が通っており、こんなフロローも「アリ」だと思いました。(最初はビックリしましたが)
ユゴー作品を「融合」させてくれて、本当に嬉しいです!!!

※この後、川口さんの「レ・ミゼラブル」ジャベール役を観る機会に恵まれました。
川口さんは今年ジャベールが自殺したのと同じ歳。私が観劇したのは、ジャベールが自殺したとされる日だったと後で知り、ゾクっとしました。ジャベールの魂が乗り移ったような激しい演技でした。



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