蜷川幸雄さんの死を悼むたくさんのコメントを読ませていただき、俳優さん達の心にこんなに大きな影響を与えておられたのだと改めて感じましたので、ここに書き留めておきます。

藤原竜也さんは、前夜はショックのあまりコメントを出せる状態ではなかったそうですが、一夜明けた今日、所属事務所を通じてコメントを発表されたそうです。藤原さんは、蜷川さんが亡くなる前日に病院を訪れておられたそうです。

「最期に会えて良かったです。僕を産んでくれたのは蜷川さんです。たくさんの演劇人生をありがとうございました。真面目に突き進んでいきます。」
「蜷川さんは土台から僕を創り上げた人。私生活すべて削り落として向き合った。今も細胞の6、7割は蜷川さんでできています。」・・・藤原竜也さん

「自分の言葉をどれ程掻き集めても、足りないほど悲しいです。でも、蜷川さんはそれを乗り越えるための『滾る想い』志』を与えてくださいました。ただただ、、、その事に感謝しかありません。どうぞ天国にいらしても、私達の心にゲキを飛ばして続けて下さいますように。」・・・宮沢りえさん

渾身の魂からの演出に心から感謝です。最後の演出でしたが、本当に役者としてシェークスピア俳優にさせて頂きました。感謝してもしきれません。運命を呪います。しかし現実を受け止め、これからは天国からの演出に心を傾けたいと思っています。悔しい!淋しいです!」・・・市村正親さん

「若い自分に、『枠にはまるな、壊せ壊せ!自分はなんだってチャレンジした』と導いて下さった方でした。イタズラ顔で褒めてくれたり、を突いたりしてくれた蜷川さんが忘れられません。」・・・岡田准一さん

「演劇人として一生の宝物をいただきました。それは、私の中で色あせることなく輝き続けます。だから、だから、ありがとうございました。やっとやっと、ゆっくり休めますね。本当に、本当にありがとうございました」・・・大竹しのぶさん

「僕にとっては最初の演出家です。永遠の演劇青年の姿しか記憶にありません。良く怒られましたが、その熱さにいつも魂を揺さぶられました。あの情熱を心に刻んで受け継ぎたいと思っています。」・・・松平健さん

若手の俳優さんたちを、どんどん起用し、厳しく愛情深く、本物の舞台人に育てていった演出家だったということがよく分かります。

今日の特集で、蜷川さんの素顔に迫っていましたが、実はとても「人見知り」で、幼稚園は1日しか行っておらず、俳優さん達と対峙するのが辛くなると、本当は「早く家へ帰って本が読みたい」という思いになっておられたという意外な一面が紹介されていました。

写真家で映画監督であられる娘の蜷川実花さんが小さい頃は、「専業主夫」となって、手塩にかけて育てられたそうです。

新宿の雑踏に3歳の実花さんを連れて行き、
「たくさんの人が同じ方向に向かって歩いているけれど、実花が本当に正しいと思ったら、こっちの方向へ行きます!と言える人間になりなさい」と教えられたそうです。
「最期まで闘い続けたかっこいい父でした。父の娘でいられたことを誇りに思います。」・・・蜷川実花さん

これからも蜷川さんは、たくさんの方の心の中に生き続けるでしょう。
私も忘れません。心からご冥福をお祈りいたします。