レ・ミゼラブル名古屋公演で、ジャベールとアンジョルラスの美声に感動しました。
でも、今回一番涙を誘ったのは・・・

エポニーヌ(昆夏美さん)とマリウス(田村良太さん)だったのです。

え、ここに一番感動する?自分でも驚いています。
学生時代からレミゼをずっと観てきましたが、エポニーヌがよく理解できていませんでした。

頭では分かります。テナルディエの娘として生まれ、コゼットのようにひどい扱いを受けたわけではないけれど、劣悪な社会でスリの手伝いをさせられ、ろくな教育も受けられず・・・マリウスが大好きだけれど相手にされず・・・
オン・マイ・オウンというのはパンチの効いた悲しみの歌。日本人には難しい歌ですがいつも見事に歌われ、素晴らしいなと思ってきましたが・・・感情移入したことはありませんでした。

コゼットにはコゼットの悩みがあり、孤独があると思うのです。
バルジャンに愛されてからは不自由なく育ったかもしれないけれど、自分の生い立ちも知らされず、カゴの中の鳥の悲しみを背負っていなければならないはず。
エポニーヌよりコゼットのほうが理解できる気がしていました。
ところが、新演出のコゼットはそういう孤独感とかが薄れて、現代風のしっかりした娘になっており、かえってエポニーヌの純粋さが際立つという結果に。

エポニーヌがこんな社会に生まれて、切ない苦い思いを重ねても、なお純粋にマリウスだけを思っているいじらしさに打たれるというか。
レミゼでは神に召されると白い光が当たりますよね。エポニーヌも神様は見ていてくださったのだと分かります。

マリウスも難しい役だと思います。コゼットに恋をして熱演しすぎると、エポニーヌは眼中になくなり、死にかけて初めて気にかけるなんて、鈍い奴、ひどい奴にもなりかねません。
田村さんのマリウスは、声楽出身の上原アンジョルラスとの違いがくっきりしていて、精悍なリーダー世間知らずの人の良いお坊ちゃん的なマリウスな感じ。歌で張り合えば、上原さんに負けてしまうかもしれません。でも田村さんの良さは、演じているというより、なりきっているところかと思いました。自然なのです。

コゼットを見上げ、高いところからエポニーヌを下に見ているのではなく、田村マリウスと昆エポニーヌは幼馴染みだというのが伝わって来ます。それ以上でもそれ以下でもない。その対等さがいい感じなのです。

コゼットに恋をして、もう止められないくらい浮かれているけれど、それは恋の病であって、エポニーヌは大事な友達、そばにいてくれないと困る人。瀕死のエポとマリウスの歌う「恵みの雨」昆さんは小柄で華奢な感じなので、守ってあげたくなります。撃たれてもなお「大丈夫」と笑顔でいるところがいじらしくて。エポが天に召された後、一人で「育てる・・・」と声を振り絞った田村マリウスが忘れられません。

(関係ありませんが・・・田村さんと私、誕生日が一緒でした。あら、ご縁があるわ(笑))

ファンテーヌの母としての想いとか、エポニーヌの想いとか・・・
そういうところに、ぐっとくるようになったのは、演出が変わったからか、自分が変わったからか??
あらゆるところに熱いメッセージが入っているので、これからも感動の箇所が増えていきそうです。