リトルマーメイド大阪公演、キャストの感想です。

オーバーチュアが始まったとき、「ずっとここに来たかったのだ」と気づき、早くも・・・
私は舞台でそれほど涙するタイプではありません。心の深いところにしまって、後から咀嚼するタイプ。
なのに、この日の公演は色々感極まるところがありました。

何度か名古屋公演で何度か観た作品ですが、この日の公演は、私にとってベストではないかと思うくらい心に残りました。
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三平果歩さんは、ここ5か月くらいずっとアリエルですね。アリエルという役は、フライングで海の中を泳ぎながら歌うという難易度の高い役。それを長期間続けておられることに驚かされます。

三平さんでこれまで印象に残っているのは、コーラスラインのヴァル役
あの時私は古き時代の舞台と比べてしまい、一人で寂しい気持ちになったのですが、そんな中、三平さんのヴァルだけが抜きんでて光っているように見えました。
セリフの言い方、間の取り方、歌、踊り・・・大好きな保坂知寿さんがかつて演じられたこの役を素敵に演じられていたのを拝見し、「素晴らしい」と印象付けられました。

そして、キャッツの泥棒猫「ランペルティーザ」の可愛かったこと!

そんな三平さんのアリエル、私は本当に大好きになりました。
表情がクルクル変わり、「喜怒哀楽」を豊かに表現されるので、とても素直な気持ちで海の世界に入れます。
それに・・・「お笑いのセンス」も光っていましたw
声を失うアリエルは、ジェスチャーで表現しないといけなくなるのですが、王子様とのやり取りが可笑しくて・・・

この日のエリック王子は竹内一樹さん。私が名古屋で初観劇したときも竹内さんだったのですが、最初に観た印象というのはとても大きく、私にとって竹内さんは、ザ・王子様と刻まれました。
その後も何人かの王子を拝見し、「劇団四季にはたくさん王子がいて凄い(笑)」と思ったのですが、やはり私は竹内王子の優しさや夢見る雰囲気、心のこもったセリフの言い方がとても好きです。
ハンス・アンデルセンのハンス役でも思いましたが、夢を見る子どもやアリエルを優しく繊細な心で支えられる王子だと思います。
「君なんだねとアリエルに気づいた時の心からの驚き&嬉しさの表現が特に好き。

アリエルの父、トリトン王は田島亨祐さん。私はトリトン王は「頑固」「厳格」であるべきだと思っています。
その点で田島さんのトリトン王は、とても好みです。
震え上がるくらいの迫力で、地上の生活を夢見るアリエルをバシッと戒めてくれます。
田島さんのプロフィールを拝見すると、かつて高校で数学を教えていらっしゃったとか。
あ~!だから、生徒指導の経験もあって、ピリッと叱ることができるのかと妙に納得。

歌も大変お上手で、最後にはアリエルを認め、嫁がせる父の気持ちがよく現れていました。

私はアリエルにとても共感できます。
「ここは私の居場所じゃない」と地上に憧れ続けるアリエルは、かつて自分が舞台に憧れた気持ちとよく似ているからです。そして「厳格な父」という環境も似ています。

トリトン王とアリエルの衝突は辛いけれど、そこをキチンと表現してこそ後半のハッピーエンドが生きてくると思うので、とことん「パパは分かってくれない」というのを描くべきだと思います。

天真爛漫な三平アリエルと、震え上がる迫力の田島トリトンは、理想の組み合わせでした。


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